ボーンフィクション4

このお話は、虚実取り混ぜて書いております。実在の人物、機関とは一切関係ないものとご理解ください。

私はこの時初めて、「呻吟する」ともいうべき声を上げて自分を呪いました。
とにかく1日でも早く仕事に戻れるよう、必死で松葉杖の練習をしたのに、なぜこんなことになってしまうのだろう?
私の獣のようなうめき声に、ネコがリビングのドア越しに、にゃーにゃー大騒ぎ・・・

今回ばかりはどうしようもないので、救急車を呼びました。
午前中に行ったばかりの大学病院に受け入れを依頼してもらいましたが、担当医が手術中(!!)とのことで拒否され、個人経営のクリニックに行きました。

この日は骨折の特定日だったとでもいうのでしょうか、恐ろしいことに、ひっきりなしに救急車がやってきます。
自分の状態より、他の急患の様子にビビリながら待つこと1時間、レントゲン室で撮影を終えた所に、院長が入ってきました。
「ここね。ちょっと我慢してね。」
院長は、とてもその年(はっきり言って後期高齢者)とは思えぬもの凄い力で、私の手首を引っ張って、ホネを元の位置にもどしました。
あまりにも痛くて、悲鳴も出ませんでした。
診断は「右橈骨遠位端骨折」でした。

こうして私は右手足のダブルというか連続というか、とにかく自力では身動きできない状態になってしまいました。

さてその夜、例の宅急便の箱を夫に開けてもらうと、中には
「げんき一杯!リコピントマト」
というドリンク剤が29本入っていました(瓶入り、1本100g)。
そういえば、実家の母が、一か月分お試しで買ったけど口に合わないので残りを送る、と言ってましたっけ。
瓶入りドリンクの箱詰めなら、固いに決まってますね。

教訓
リコピンは、美肌効果が期待できますが、骨折の治療に直接関係ありません。

ボーンフィクション3

このお話は、虚実取り混ぜて書いております。実在の人物、機関とは一切関係ないものとご理解ください。

転院先は、通勤途中に通うのが便利な、駅近の大学病院にしました。
ただ、大きい病院だけあって、予約がすぐには取れず、負傷の翌々日に、夫にクルマで連れて行ってもらいました。
診察は、最初の病院で装着してもらったギプシーネの上からレントゲンを再度撮り、医師がチェックする、というだけで、要は保存療法です。
それでも待った時間はとても長く、リハビリ室で松葉杖の使い方を教わる頃には、正午を過ぎていました。
これ以上付き合わせても悪いので、夫は出社、私は松葉杖のレッスン?が済んだら電車で帰ることになりました。

松葉杖のレッスンは、大変ためになりました。
階段の上り下りをマスターしたのも大きかったのですが、何よりも、間に合わせに貸してもらったものより、ずっと使いやすい杖を借りられたのが良かったようです。
私は持ち前の根性を発揮して、病院から駅へ歩き、更に自宅の最寄り駅から歩く、というロードワークにチャレンジすることにしました。

が、これはとんでもなく、長く辛いロードワークでした。
元気な時には、15分もかからず歩ける道なのに、歩いても、歩いても、おうちが遠いのです。
それでも途中でやめられないので、歩いて、歩いて、歩き抜きました。

やっとの思いで玄関を開けた時、私はくらりとバランスを崩してしまいました。
後ろに身体が傾きますが、ギプシーネのせいで右膝が曲がりません。
しばらくもがきましたが、しりもちをつく方向には持ち込めず、真後ろに転倒・・・
の途中で、玄関先に置きっぱなしになっていた、宅急便の箱に手首が当たったようです。
私は玄関で仰向けに倒れて、手首の痛みに呻いていました。
折れたな、と思いました。

教訓
玄関に物を置かないようにしましょう。

ボーンフィクション2

このお話は、虚実取り混ぜて書いております。実在の人物、機関とは一切関係ないものとご理解ください。

骨折したとはいえ、救急車はもっと緊急で重大な事態の方のためにあると思うので、夫に迎えに来てもらい、とりあえず近くの病院に連れて行ってもらいました。
診断は「右腓骨骨折」でした。

若くて力強い感じの女性医師が、ギプシーネという、水につけて成型すると乾燥後は硬くなる、包帯のようなもので固定をしてくれました。
それ以上に急いでやるべきことはないらしく、2,3日位のうちに、通い易い病院に行って下さい、と紹介状を書いてくれました。
やはり、骨折としては、緊急度も重要度もかなり低いレベルのようです。

車椅子で処置室を出ると、なぜか夫が売店の袋を持って待っていました。
「これ、いいかなと思って。」
夫が買い求めたのは、カルシウム配合のウェハースでした。
そうか、骨活にはカルシウムですね。

そして私たちは、何となくサイズの合わない松葉杖を借りて、湿っぽく帰路につきました。

教訓
カルシウムは、骨折してからではなく、ふだんから一日1000mgを目標に摂取しましょう。

ボーンフィクション1

このお話は、虚実取り混ぜて書いております。実在の人物、機関とは一切関係ないものとご理解ください。

それは9月のある講習会でのできごとでした。
私はXR230でスラロームを走っていました。
フォームは中腰、スタート位置で停止しないで周回を続ける、という、かなり集中力を要する練習です。
ホームストレッチで速度を落とすと、あっという間に流れを乱してしまうので、私はXRの激しい振動に耐えて、必死で走っていました。

その必死がまずかったようです。

速度がかなり上がってきた数周め、私はスタート地点を通過してすぐのクランクで足を取られ、転倒してしまったのです。
軽いはずのオフ車の下敷きになった足に、嫌な感じの鈍い痛みが広がります。
起き上がりたいのに、起き上がれません。
白馬の騎士が助けに来てくれるのを待ってるわけではないのですが。

何とか引っ張り出してもらい、お礼とお詫びを言おうと立ち上がりましたが、右足の外側が、ぐきゅぐきゅと不穏な動きをして、思うように歩けません。
それが私の、生まれて初めての骨折でした。

腫れて脱げなくなると困るので、レーシングタイプのブーツを取ると、親切な方が凍らせたペットボトルとタオルをくれました。
黄色いタオルに書かれた
「全国交通安全運動」
の文字に、申し訳なさで胸が痛くなってしまいました。

こうして私の骨折生活が開幕したのでした。

教訓
オフ車に乗る時は、必ずオフ用のブーツを履きましょう。

(続きます。)