諸人こぞりて、Freude!

12月初めのこと。

ある女性バイクジャーナリストさんが主催する、初心者を中心とした女性向けのバイクレッスンに、インストラクターとしてお手伝いに伺いました。
場所代やスタッフのお弁当代、その他もろもろ、受講生さんの参加費だけではとても運営できないレッスンです。
なのに、この方は、熱心に取り組み、私たちお手伝いに、お菓子の詰まった赤い袋までくれたのでした。
そして、そのお菓子の袋には、メッセージとクオカードが・・・

この優しさ、気配りは、他へつながなければなるまい!

というわけで、クオカード全額分食糧を買って、フードドライブに届ける事にしました。
が、なんだか気恥ずかしくて、しばらく実行に移せないままもうすぐクリスマス。

今日は会社で落ち込むことがあったので、ユミコさん(あ、名前言っちゃった)の優しさにもう一度触れたいと思い、遂に決行しました!
向かう先は、確実にクオカードが使えるコンビニです。
そのコンビニ系列のプライベートブランドに絞ってレトルト食品やお菓子、シリアル、パックご飯を選びます(割高になるのがイヤだから。せこい!)。
あれやこれや、何にするか悩む買い物の楽しみを久しぶりに味わいました。

レジを済ませ、店を出る時になって初めて、「諸人こぞりて」が店内に流れていたことに気づきました。
いちばん好きなクリスマスソングなのに、テンパってたんですね。

コンビニからフードドライブ受付のあるスーパーまでの道すがら、当然、「諸人こぞりて」を口ずさんでいました。
落ち込みは、いつのまにか消えたようでした。

Freudeはドイツ語で喜びを意味するのだとか。
ユミコさんに聞きました。
結果的に今日、私は誰か見知らぬ人にクリスマスプレゼントを贈り、喜びを感じることができた、ということなのかもしれません。

諸人に幸多かれ。

8の字特講

私は基本的に、練習が足りてない・・・

砧や府中には参加できないし(そもそも勤務先が横浜に移転して、都内在勤でも在住でもなくなりました)、桶川は競争激し過ぎて滅多に予約が取れない。
そんな思いから、旧友のぴろさんにムリ言って、はるか茨城県西自動車学校の「安保塾」に連れて行ってもらいました。
・・・いや、ホントに遠かったです。

なのに、現地に行ってみると、知った顔ぶれがあちこちに。
「練習難民がたくさん集まってくるんだよ。」
みんな、困っていたんですね。

クラスは、初参加ですが「準中級者」を選択。
が、クラスのカリキュラム通りに練習したのは午前中だけで、午後は、塾長自らハンドルを執る(そんな日本語あるのか?)8の字特別講義に参加させていただきました。
因みに、この講義名も私が勝手につけたものです。

安保塾長の特講は、図解によるU字カーブの走行ラインの説明から始まりました。
※図は再現しませんので、言葉でお読み取りください。U字を上下逆にして、左から右に曲がるところを想定しています。

図解1 アウト イン アウト
カーブ走行のライン取りは「アウト イン アウト」です。
カーブへの進入は道路のアウト側から、カーブ頂点通過はイン側、そこから再び道路アウト側へ向かいます。

図解2 スローイン ファストアウト
上記の通り、アウト側(=速い)からカーブ入り口に近づいたら減速(スローイン)、カーブの頂点を出る際に加速(ファストアウト)します。

図解3 一歩我慢
カーブ頂点を出る際の加速をする場所(クリッピングポイント)は、カーブの頂点ではなく、一歩我慢して、後輪がパイロンに接近した点。

以上を理解した上で取り組む8の字とは!?

みなさまご承知の通り、ターンの基本は「大きく入って小さく出る」、つまり、後輪は前輪よりも内側を通る(内輪差)のでその分前輪に余裕を持たせて進入します。
そのため、パイロン2本を置いた8の字練習では、パイロンが真ん中ではない、歪んだ8の字を書くことになります。
パイロンを回って、アクセルを開けるクリッピングポイントは、後輪がパイロンに近づいた時。
この時、進みたい方向にハンドルを切り、加速するわけで、これが実は、前述のU字カーブと同じプロセスなんですね。
「一歩我慢」によって、進みたい方向に車体を向けられるタイミングを待つ、ということなのでした。

と、話は目からウロコでよくわかったのですが、実際やってみたら、やっぱり難しい。
後輪をパイロンに十分近づける際、ハンドルを適切な量切れずに足りない分車体傾けたりするとコケるよ、と言われましたが、こちとらSSなので、どーしても車体を傾けたくなります。
案の定、危うくコケそうになりましたが、なんとか持ちこたえました。
「いい経験だよ。」
塾長からはナイスな一言が。
そう、練習って、たぶんそういうもの。

そんなこんなで、酷暑の中、へとへとになりながらの練習でしたが、楽しく、そしてありのままの自分と素直に向き合えた、いい時間でした。
久しぶりに、指導員になる前の、練習に明け暮れていた頃(そうでもないか)を思い出しました。

また、あの頃みたいに練習したい。
納得いくように走れなくて落ち込むことはあっても、自分を卑下するのではなく、笑って励ましていたあの頃。
でも。
「あの頃」に戻るんじゃない。
「あの頃」夢中になって取り組んでいたことを、「今」新しく始めるんだ。
ワタシは懐古怪人じゃないからねっ!
などと考えてみるのでした。

長い長い帰路を良き仲間たちに道案内され、無事帰宅。
見上げる夕空には、スーパームーンと見紛うばかりの美しい満月が浮かんでいました。

(ぴろさん、素晴らしい一日をありがとうございました。)

HMSバランス(思い出の樹の下で)

4月になりました。
この時期のHMSバランスコースといえば、そう、一本橋の側の、満開の桜です。
心弾む中にも、一抹の寂しさを感じるのは、この桜にまつわる思い出が多すぎるからでしょうか。
ずーっと頑張って練習してきた(つもりの)一本橋。
初めてHMSに参加した頃からお世話になった、今はもういないインストラクターさんに、たくさんの教えと励ましを受けました。
なのに未だに一本橋の女王?じゃないのは申し訳ない限りです。

今日の担当インストラクターはYさん。
なぜかマリで桶川に来る度に出くわす、気さくな方です。

練習は直線を半クラッチで進むところから始まりました。
低速、特に一本橋を想定した場合、つながるかつながらないかのボーダー操作がキモになるわけですが、さて、今までどんなこと教わってきたっけ?
そうだ、レバーは外側より根元に近い方が繊細な操作ができるのでした。

次の練習は、半クラッチに加えてリアブレーキ。
Yさんは、内側のくるぶしやその上の部分を車体にフィットさせると、足の指先で細やかに操作しやすい、と解説してくれます。
あ、これって、以前、インストラクターのKさんが教えてくれた「くるぶしグリップ」だ!
ステップ上の足を置く位置も色々試してみて、と言われて、少し後ろにしてみました。
私は足も小さいので、つい踵をステップに置いてしまうのですが、思い切って土踏まずを置いてみると、意外にもブレーキペダルが足の指先で優しく扱えます。
おお、これだ!

そして上体の動き。
バイクはハンドルを切ると反対側、例えば左にハンドルを切ると車体が右に傾こうとするので、人間は無意識にハンドルを切った側に上体を動かしてバランスを取るわけですが、この時、頭を振ると逆にバランスを崩しかねません。
脚の付け根で動くようにすると、思った通り?にバランスが取れる、と。
これはなかなか難しいのですが、頑張ることにしました。

そんな感じで午前は終了。
が、このゆるーい確認が、午後のドラマチック?な展開へとつながるのでした。

午後はいよいよ各種課題の練習です。
スネーク一本橋やかまぼこ一本橋、波状路、V字溝やW字溝などの往路の常設課題と、Uターンを主とした低速スラまたは千鳥とS字中心の復路、Yさんは一つずつ丁寧に説明してくれました。

私が苦手なのはスネーク一本橋です。
昼休み中に見直しておいた過去のメモには、
「カドを曲がった後、続く直線部も真ん中ぐらいまでは引き続き橋の外側を通る」
とありました。
そうだ、こう走らないと、内輪差で後輪が橋からはみ出した後、落ちるキケンがあるのです。

「レバーは根元、ブレーキは指先、足の付け根」だの「角を過ぎても半分は外側」だの、おまじないみたいに呟きながら何度も練習していると、不思議なことに、全部できるようになってきました。
上手くいくと、他もがんばれるもので、低速UターンS字も、ギリギリながらすべてクリア。
最後は、全課題をこなしてコンプリートできてしまったのでした。
その時、時刻は16:01。
「今、全部続けてコンプリートできたので今日はもうここまでにします。」
宣言すると、Yさんと、見ていた他の参加者さんが、やったあ!と言ってくれました。

こんなに達成感が得られたのは久しぶりです。
それからふと、風に舞う桜の花びらを浴びながら、気づきました。
これは今日1日の達成感じゃない。
今までずっと続けてきたから感じる達成感なんだ。
私の中に、今日Yさんが説明してくれたことを理解できる下地があったから、できたことなんだ。

今はもういない、左利きのKさん。
いつか奇跡のようにこの樹の下で逢える気はしませんが、桜満開の晴れた日に、あるいはとんでもない酷暑日に、いつも親身に指導してもらったことを、私は忘れないでしょう。

元気でいて下さい。

一本橋の桜

はじめてのマリ

いつの間にやら、CBR650Fも3年め、初車検を通過しました。
が、今ひとつ乗れていない感がなくなりません。
軽く出かける等に支障はないのですが、いわゆる低速バランスができていない、つまり、「下手くそ」。
この10月に、絶対やったらまずい状況でエンストゴケもしてしまいましたし、そうなるともう、練習するしかない。

警察系講習会に参加するワケにいかない今、私の行く先はほとんどなく(個人主催の練習会は、コロナの影響で現在はほぼ壊滅)、選んだ先が「チームマリ モーターサイクルレッスン(@レインボー埼玉)」でした。
初参加なので、当然初級です。
だって、講習会で何が一番心配かって、段取りを知らずに行動して、周囲を危険な状況に巻き込むことが一番心配なのですから、少なくとも初回は初級に出て、流れを掴むべきだと思ったのです。
が、実際の問題はそこではありませんでした。

川崎の我が家から、桶川のレインボー埼玉は、遠い。
しかも私は足が遅いので(笑)、時間には十分余裕が欲しい。
で、家を6:30に出たら・・・関越、凍ってました。

日陰になっている第一通行帯はカチンコチンの可能性が高いので、なるべく第二通行帯を選んで走りますが、それでも道路の色が黒い!
まあまあ直線なので、手練のリーンイン(苦笑)に頼る必要はありませんが、急ブレーキが必要にならないよう、そこそこの速度(ビビリモードとも言います)しか出せません。
冬タイヤ4輪以上の皆様が、いらいらと追越車線で私を抜かしていきます。
ああ、ごめんなさい・・・、と心の中で詫びますが、心身ともにどんどん冷えていくようです。
これじゃ、冬場にツーリング敢行するのと同じだよ!
というか、この道中こそが訓練になるのか?
現地に着く前に力尽きるかも、というのは杞憂に終わりましたが、到着したら、何と早過ぎ。
指定された自車両集合場所も開いていませんでした。
幸い、顔見知りのレインボー埼玉のインストラクターさんがいて、中に入れてくれたので助かりました(ついでに、「綺麗な白だね」とバイクを褒めてくれたのも嬉しかった、・・・てホンダのバイク、御社製品だよ!)。

そんなこんなでひとり大騒ぎの末、やっと参加できた、初めてのマリ、初めて自車両で走る桶川でしたが、感想は
「楽しかった!」
いつか誰かが、「やってみて後悔することなんてない、後悔するのはやってみなかった時だ」って言ってましたが、名言です。
正直、練習内容自体は楽勝だったのですが、自車両で辿り着き、練習し、無事帰れたこと、全てセットで楽しかったのです。
昔、砧でコケたり笑ったりしながら練習してた頃みたいな、明るい気持ちを少し取り戻せたみたいでした。

またいつか行きたいな。

HMSバランス(ハンドル切ったらあとひとつ)

参加しました。
仕事は不本意だし感染症は怖いしで、ここのところずっと晴れないままのココロ。
練習に集中することで、ちょっとだけ解放、というか、現実逃避です。

イントラさんが示した今日のテーマは「ハンドルを切る」だったのですが、私の得意?なハンドルフルロック技だけでは解決できないコース設定でした。

緩い千鳥風の設定で始まるそのコース、ラスト近くの右の小さなターンで、後輪が回り切るのを待たずに前輪をジャストな距離進めたら、即、左にバンクしないと、次の3連続パイロンの最後の1本が通れない、というものでした。

「ハンドル切ったら即、バンク」ができるかできないか。
これって、そのまま、速く走れる人とそうでない人の技術差ではないのかな?
私がスラローム得意じゃないのも、公道で飛ばせないのも、原因はコレかもしれない。
ライダーは速いのが一番!とは思わないけれど、速く走れないという事実から、自分の身についていない技術が明らかになることはあるでしょう。
・・・ワタシの場合、自分ではその弱点に気づけず、今回のように分解して教えてもらってやっとわかる、という点が問題なのか?

落ち込んでも仕方ないので、いつも通り、粛々と練習します。
ハンドル切った後すぐにバンクするのは、バランス崩しそうでちょっと怖いのですが、何度か繰り返すうちに、まぐれで成功したりします。
すると怖さが少しずつ消えてきて、そうなると、成功する率が上がってくるのです。
じきに、成功するうれしさ、楽しさが増して、怖さがすうっ、と消えていく感じ。
快感、です!
練習が私にとって最高のリフレッシュになるのは、この快感ゆえ、なのでしょうね。
未だに新しく学ぶ事がなくならないのは成長の遅さの現れかもしれませんが、修行を続ける本人が楽しいので問題ナシ!です。

休日返上で仕事をこなすという選択肢もあったに違いないこの一日、当然後悔はしませんでした。

再開 ライディングスクール!

新型コロナ感染症との共存生活?も、なんかいつの間にかみんな慣れてしまった、という意味で、落ち着いてきたように感じます。
これが新しい生活様式、ということなのでしょうか。

そんな中、私が自分自身の練習を再開したのは8月末、指導員としての講習会参加は9月初旬からでした。

久々のコソ練(コレやらないと、腕がどんどんなまって、指導員務まらなくなります)では、しばらく乗らないうちに、苦手な課題に対する恐怖心をみごとに忘れてしまっていて、スネーク一本橋があっさりできちゃったという貴重な体験をしました。
これ、マジメに考えるなら、
「リスク感覚が鈍っているかもしれないから、公道を走る時には十分注意しなきゃ」
ということなのかもしれませんが、とりあえず、自縄自縛からの開放ということにしておきました。

そして講習会。
こちらは主催者に連なる側での参加ですので、当然、コロナ対策の作業も出てきます。
赤外線式非接触体温計で、参加者の方の体温を測定しましたが、慣れないうちはちょっとだけ難しかったです。
ちょっと距離があり過ぎたり、髪が額にかかっていたりすると、ヘーキで「34.5度」とか出てしまうんですね。
で、焦って、すみません、もう一度計らせてください、と言うと、計られる側は平熱超えてたのかと思うらしく(当然ですね)、さっと表情が硬くなります。
ああ、ごめんなさい!の瞬間です。
因みに非接触式の体温計、おでこ用とか手首用とかあって、使う場所を間違えるとヘンな数値になります(体表面温度から体温に換算する際の補正係数が体の位置によって異なるため、らしい)。
試しに、おでこ用で手首を測ってみたら、33.4度!とか出てしまい、居合わせた警察の方に、死後3時間くらいですかねえ、と言われました。

そんな感じで、戻ってきたようで、微妙に様変わりした感のあるバイク生活。
冬が来る前に、楽しんでおきたい、と心から思っています。

それができないアナタのために

ふと気が付くと、指導員になってもうすぐ5年です。
思い返せばあっというま・・・ってことは、私、あまり成長していないのでは?
という懸念も頭を掠めますが、贔屓目なしで、そんなことはない、としておきます。
ちょっとずつでも、まあ、日進月歩でマシにはなっていると思ってます。

指導していて最近思うこと。
指導員は、受講生の方のライディングを見て、ここをこう直したらいいですね、なんてアドバイスしますが、言われたことをその場で直せる人は、少数派です。
たいていの人は、繰り返し試行錯誤して、ようやく「感じをつかむ」ところから始まるのではないかと。
人によっては、(つまり、私のように)1回の講習会で直せず、2回3回参加してまだうまくいかず、延々試行錯誤ループを繰り返して、やっとの思いで身に着けていくこともあるでしょう。
・・・いや、私はスキル習得の遅さでは、ダントツ人並み外れているところがありますが。

そんな時、指導員として気づかなければならないのは、その人が、
「注意されたことをやっていないのではなく、注意されたようにできるところまで、まだたどり着いていないこと」
ではないかと。

受講生だった頃、一番つらかったのは、指導員の方に、「どうして言った通りにやらないんだ」と叱責されることでした。
やらないのではなく、できないのだということが、その指導員の方にはどうしても理解してもらえなかったのです。

それでも練習することをやめなかったのは、私をこんな負のスパイラルから救い出してくれた、素敵な指導者との出会いがあったからでした。
練習することを楽しさを教えてもらい、委縮せずに走れるようになってやっと、できることが増えていったのです。

今はモラハラの問題もあるので、かつて私を苦しめたような発言をする指導員はいないと思います。
逆に、うわべだけの笑顔で受講生に接しているのでは?と疑う向きもあるかもしれません。
でも、少なくとも私は、練習の場は楽しいものであって欲しいので、自分も楽しく笑って指導したい、と思っています。

だから・・・
思うように上達できなくて悩んでいるあなたには、ぜひ、あきらめずに、講習会に来て欲しいのです。
練習するって楽しい!って感じてもらえれば、と思うから。

腱鞘炎が教えてくれる

今年始めから、腱鞘炎を患っております。
左手首なので、たいていの方からは、クラッチの使い過ぎ?と聞かれますが、明確な心当たりがありません。
確かに、新年早々、山(といっても宮が瀬ですが)に行った際、白っぽく輝く路面にびびりながら走っていて、手首にわずかな違和感を感じたのが始まりではありましたが。
でも、たった1回の冬ツーリングで、腱鞘炎にまでなるのものなのか?

実のところ、腱鞘炎でも、バイクの運転に特に支障はありません。
ただ、HMSのバランスコースで低速の練習をすると、普段の3倍くらい、手首(左だけ)が疲れました。
低速練習は、やってもやっても足りない気がしているので、これは厳しい状況です。
クラッチレバーの調整ってホントに重要!と身を以て知ることができたのは収穫でしたけど。

それにしても、低速練習って、トレーニングと呼ぶにふさわしいものなんですね。
こんなに手首を酷使するなんて。
↑力入りすぎているだけ、という説もあり。

エマージェンシーオレンジの気持ち

その講習会は、春の嵐が忍び寄る、快曇の空の下で始まりました。
毎年恒例・春の交通安全週間の真っ只中で、白バイ隊員は不在、つまり準備や撤収作業はもちろん、デモ走行やコース案内も、いわゆる指導員、オレンジ色の制服を着たメンバーだけでやらねばなりません。

嵐の前兆の、いや~な風が吹く中、朝のミーティング。
「今日はつるばらさん、バランス課題のデモ全部やってください。それと慣熟走行の先導ね。」
こともなげに指名するチーフ。
え!?
ワタシの今年の目標、その二つができるようになること、なんですけど?
いきなり実現、というより目標に到達しなければならないってこと?
スリルとサスペンス、ではなく、緊張と不安が冷や汗となって全身から浸み出しそうでした。
とはいえ、やらねばなりません。
説明役の方と入念な打ち合わせをしていると、今日は乗車姿勢のモデルをお願いします、と別の声がかかりました。
・・・本日、人手不足極まれり?

ミーティング後、デモの練習を兼ねて順路の確認をするため、自分のバイクに駆け寄ろうとしたら、すれ違った先輩指導員が、ファイト!と笑顔でポーズを見せてくれました。
そう、ファイト!です。

順路に沿って課題を何度もさらっていると、コースの調整やその他の準備に余念のない仲間たちの姿が目に入ります。
大丈夫、みんながいる!
何があっても、絶対助けてくれる。
そう思ったら、勇気がわいてくる気がしました。
今年の目標をいち早く達成するチャンスに恵まれた!とさえ思えてきました。

そして本番は、周りのみんなにしっかり支えられ、割と落ち着いてこなすことができたのでした。
あくまで割と、ですが(苦笑)。
出来具合の評価はいろいろあるかと思いますが、私にとっては、ちょっとだけ前に進むことのできた、素敵な1日になりました。

後日、夫にこの話をしているうちに、ふと疑問が湧いてきました。
なぜ本職では、こんなふうに周りを信頼することができないのでしょう?
ミスしたら、どれだけ罵倒されるか、揚げ足取られるか、そんな考えばかりが浮かんでしまうのでしょう?

「緊張感が違うからや。仕事はミスしたら命取り。責任とらされる。だからやろ?」
ひと通り話を聞いてくれた夫が、こともなげに言います。
いや、事故も怪我もありうる講習会だから、指導員はめちゃくちゃ緊張してるんだけど。
「カネに直結してないから、かもしれんな。」
では、私にとって働きやすい、というか、私が働きたい場って、無給がベストってこと?
そんな極端な話ではなくて、信頼とか安心とかを感じられる職場であって欲しいだけなのですが。

指導員審査の季節

教習所ではなく、交通安全協会の二輪車安全運転推進委員会の指導員資格検査(平たく言うと採用試験)のことですが。
受験される方は、道交法の勉強に、実技の練習に余念がないことと思います。

もちろん法規も実技も大事ですが、もし私が試験官なら、ぜひ面接で聞いてみたいことがあります。

それは、
「毎日の生活の中で、街行くクルマやバイクを見て、気がかりなことはありますか?」
という質問です。
その人が、日々、どんな目で、どんなものを見ているのか、お話を聞いてみたい、と思います。

因みに私がそう聞かれたら、信号のない横断歩道で、待っている歩行者がいるのに、止まるドライバーがほとんどいないこと、と答えるかな。
我が家の近くの横断歩道なんて、その先の信号目指して、クルマもバイクも加速して通過していきます。
止まるのはパトカーと教習車位です(苦笑)。

それを見て育つ子どもたちは、自分で自分の身を守る習慣とともに、クルマはヒトより優先されるという誤解を身につけてしまうような気がするのです。
ま、杞憂かも、ですが。

こういう小さなモヤモヤ、あまり気にかけている方はいなさそうな気がしますが、せめて指導員をめざす方には目を向けてもらえたら、と思っています。