モンテ・クリスト伯にハマる

きっかけは、森山絵凪氏のコミック版「モンテ・クリスト伯」でした。
この方の作品、掲載が青年誌だけあって、お約束で濡れ場というかライトエロが数ページ入ってくる(!)のがやや難点で、あまり人に勧められないのですが、そこを大目に見て後悔しないくらい、感動したのです。
そのため、森山氏があとがきで勧めている岩波文庫版をkindleでほぼ一気読み!

・・・よかったです。
ページめくり過ぎで、右手の人差し指の皮膚が硬くなってきた気がするほど、夢中で読みました。
児童文学版にまとめられた「岩窟王」などでよく知られている通り、ざっくりいうと、無実の罪で14年間を牢で過ごした主人公(エドモン・ダンテス=モンテ・クリスト伯)が自分を陥れた者たちに復讐するお話です。
でも、陰惨なテーマを扱っているようで、実は救いのある物語、なんですね。

この主人公、モンテ・クリスト伯という人が、復讐に燃えると言いつつ、何というか、人格者なんです。
そして、信仰厚いクリスチャン。
人格者で、神の正義を信じるが故に、人の道を外れた人間に容赦ないけれど、高潔な人、不幸にある人に対しては限りなく優しい、という人物。
ベースがクリスチャンだから、こういう行動様式になるのかな?仏教徒だとどんなストーリーになるんだろう?などと考えてみたりして。

ラストシーンは、涼しい海風を感じさせるような清々しさでした。
自分を不遇だと思う時に、読み返すことで勇気が出てくるに違いない7冊でした(岩波文庫版の全訳の場合)。