「放課後の音符」(山田詠美著)を読んだ

というか、読み返したのですけど・・・
このお話、私がまだ学生だった頃、「オリーブ」というファッション雑誌に連載されていまして、大好きだったのですね。
で、単行本が出た時は、初版第一刷、ソッコー買いました。
後年、文庫版も出ましたが、単行本の装丁の美しさを味わわないのはもったいないです。

お話は、高校2年生17歳のヒロインが、周囲の女の子達の恋の物語に触れることで少しずつ成長し、自分の恋にたどり着く、いうなればビルドゥングスロマンです。
その過程が、とーっても素敵!さすが詠美さん!

「私はまだ恐いのだ。彼女のように、恋することのせつなさに身を浸してしまうことが。そして、純一のまわりにいる彼に恋する女の子たちのひとりになってしまうのが。弱虫なんだ。私は、そう思う。」

こんな文章、読むといまだに心が震えます。
恋するには遅すぎるけど、恋する気持ちを忘れたくない方にお勧めです。

「汚れた英雄 第四巻・完結編」(大藪春彦著)を読んだ

いや、BookOffで105円で売ってたので、買っちゃったのですね。
出張時の車中での暇つぶしのつもりでしたので、1~3巻が無いのは気にしませんでした。
平忠彦さんが主役の吹替えで走っている映画のDVDは持ってます(爆)ので、アバウトながらストーリーもわかってるつもりでした。

が、それはやっぱり甘かった!!
大藪春彦さんの世界は、私が知ったつもりでいたものよりも、はるかに大きかったのです。

「完結編」では、世界的な二輪ライダーとなった晶夫の奔放な生き様と、その果てに彼に見えてきた、人間として円熟した在り様を示しつつ、あまりにもあっけない幕切れが描かれます。
その筆致は、見事としか言いようがありません。

表紙を飾る草刈正雄さんの若き日の姿も、見ようによってはかなりベタなのかもしれませんが、ゴージャスなオペラみたいな雰囲気にも見えたりして。
古き良き時代、で終わらせたくない、何かを感じさせる1冊でした。

「これからの正義の話をしよう」(マイケル・サンデル著)を読んだ

雨で砧レディースが中止になったので、今日は読書ネタです。

今日読み終わったのは、今話題の哲学書・・・なるほど、読みやすくてわかりやすいです。

ごく乱暴にまとめちゃうと、「ソフィーの世界」や「シュレディンガーの哲学する猫」に近いかな?
「ソフィー」や「シュレ猫」同様、読み手を引きつけるエピソードで、「正義」について古今の思想を解説していくのですが、前者2作品が、ソフィーやシュレ猫の冒険物語?となっているのに対し、サンデルさんは近年の政治や社会的事件を取り上げています。
アプローチがビジネス書に近い感じです(ドラッカーとか)。
また、最終的には、著者の考える正義がきちんと提示されます。

因みに、私が個人的に感動したのは、南北戦争における、ロバート・E・リーのエピソードでした。
ちょっとだけ引用すると

「われわれが賞賛するのは、熟慮の上でみずからの位置を定める存在として、自分の生きる状況を理解し受け入れる気質である。(中略)人格者であるとは、みずからの(ときにはおたがい対立する)重荷を認識して生きるということなのだ」(マイケル・サンデル著、鬼澤忍訳「これからの正義の話をしよう」早川書房刊、2010年5月、pp.306-307)

体裁の割にとっつきやすい本なので、お勧めです。

「レーシング少女」(郁子匠著)を読んだ

不覚にも、ちょっと泣きそうになりました。
舞台はミニバイクレースの世界ですが、物語は甘酸っぱくもほろ苦い、普通の少女達を描いてます。

ワタシにもこんな時代があった・・・気がしないのが悲しいです。

「女には向かない職業」と「弁護側の証人」

共通点は何でしょう?
つるばらが好きな作品、ではありません。
答えは小泉喜美子さん。
「女には・・・」の訳者で、「弁護側」の作者なのですね。
私も知っていたわけではなく、久しぶりに(20年以上ぶり?)に「女には・・・」を読んでいて気づいたのでした。

この方のお名前を知ったのは実は最近です。
「弁護側の証人」は、小学生の頃、NHKのドラマで見て、とても印象に残っていたのですが、原作を読む機会は、ごく最近まで巡ってこなかったのです。
なお、ドラマでは、容疑者にされる女性が主人公でしたが、原作の方はタイトル通り、緒方警部補が主人公のように私には思えました(あ、ネタバレ!?)

小泉喜美子氏は1985年に事故死されています。
その文章は、どこかレトロで優雅な女性の話し言葉など、イマドキの小説にはない魅力にあふれています。
他の作品も読んでみたいです。